2024年4月、「孤独・孤立対策推進法」が施行され、メンタルヘルスケアは個人の問題から「社会全体の責務」へと変わりました。しかし、現場ではいまだに「甘え」や「自己責任」という偏見が根強く残っています。
本記事では、最新のデータに基づき、なぜ今組織に「ゲートキーパー」が必要なのか、その理由を解説します。
2024年4月に施行された「孤独・孤立対策推進法」とは詳しく見る
2024年4月に施行された「孤独・孤立対策推進法」は、これまで個人の問題(性格やわがまま)として片付けられがちだった「孤独」を、「社会全体で解決すべき問題」であると法律で初めて定義した画期的なものです。
1. 孤独は「個人のせい」ではない
これまでは「寂しいのは本人のせい」「外に出ないのが悪い」という自己責任論が強かったのですが、この法律では「孤独・孤立は人生のどの段階でも、誰にでも起こり得るもの」と明記されました。 つまり、国が「孤独は社会の痛みであり、放置してはいけない」と認めたことになります。
2.「24時間・365日」いつでも誰かが寄り添う体制
孤独に苦しむ人が「助けて」と言いやすくなるよう、国や自治体に以下の義務を課しました。
相談窓口の強化
24時間対応の電話やSNSチャット相談の整備。
支援団体へのサポート
NPOや地域のボランティア(ゲートキーパーなど)が活動しやすくなるような支援。
つながりの場づくり
居場所づくりや、地域で孤立している人を見つけるネットワークの構築。
3.「予防」に力を入れる
問題が深刻化して(例えば引きこもりや自死の危機など)から対応するのではなく、「そうなる前に気づいて、つなぐ」という予防を重視しています。ここで重要になるのが、「ゲートキーパー」の存在です。
4.なぜ今、この法律が重要なの?
内閣府の調査(2023年)では、日本人の約40%が「孤独感」を感じていることが分かっています。これほど多くの人が抱える問題を「個人のメンタルが弱いから」で済ませると、社会が壊れてしまう。 だからこそ、「みんなで気づき、みんなでつなぐ」というゲートキーパー的な動きを、国が法律としてバックアップし始めたのです。
世界最低水準の自己肯定感とケア意識

最新の国際調査や国内データは、日本が抱える「心の孤立」の深さを浮き彫りにしています。
世界16カ国中、メンタル健康度は「最下位」
アクサ生命が2024年に発表した「Mind Health Report」によると、調査対象16カ国の中で、日本は「メンタルが良好」と答えた人の割合が12%で最下位でした。一方で「メンタル不調に悩んでいる」人の割合は22%と最多です。
12% 「メンタルが良好」と回答(16カ国中 最下位)
22% 「メンタル不調に悩んでいる」と回答(16カ国中 最多)
カウンセリング利用への高いハードル
必要性を感じながらも、専門機関に繋がれない「心理的ギャップ」が顕著です。国内の調査(株式会社マイシェルパ 2024)では、働く人の約55%がカウンセリングの必要性を感じているものの、実際に利用しているのはわずか6%(OECD調査)に留まっています。
55% カウンセリングが必要だと感じている
48% 心理的なハードルや抵抗感を感じている
6% 実際に利用している
この「必要だと思っているのに、恥ずかしくて(あるいは偏見を恐れて)行けない」という49%のギャップこそが、日本特有のスティグマ(偏見)の正体です。




