「トンネルビジョン」があなたの不安を加速させる
スマホの影響は、首の痛みだけではありません。もっと深刻なのは「脳」への影響です。
スマホを凝視している時、私たちの視界は極端に狭まります。これを専門用語で「トンネルビジョン（筒状視野）」と呼びます。
実は、人間の脳は、視界が狭まると「何かに集中して戦うか、逃げるか」というストレス状態（交感神経優位）に切り替わるようにできています。
つまり、リラックスしたくてベッドでスマホを見ているのに、あなたの脳は「ライオンに狙われている獲物」のような警戒態勢に入っているのです。これでは、本当の意味で休めるはずがありません。
逆に、顔を上げて遠くの景色をぼんやり眺める時、私たちの視界は「周辺視野」へと切り替わります。
この広々とした視界は、脳に「今は安全だよ、リラックスしていいんだよ」という信号を送り、副交感神経を一瞬でオンにします。
「視線を上げる」ことは、自分専用の「マインドフルネス・スイッチ」を押すことと同じなのです。
「Awe（アウェアネス）」— 幸せは頭上にしかない
心理学の世界で今、最も注目されている感情の一つに「Awe（オー）」という言葉があります。日本語では「畏怖（いふ）」や「圧倒されるような感動」と訳されます。
大きな木を見上げる、夜空の星を眺める、あるいはカフェの窓から流れる雲を追う。
そんな風に「自分より大きなもの」を見上げた時に感じる、あの「あぁ、世界は広いな」という感覚です。
最新の研究では、この「Awe」を感じることで
体内サイトカイン（炎症物質）のレベルが下がる
「時間が足りない！」という焦燥感が消える
他人に対して寛容になり、親切になる
という効果が証明されています。
スマホの中の「1万個のいいね」をスクロールして探すより、たった一つの「夕焼けのグラデーション」を見上げる方が、あなたの免疫力を高め、心を豊かにしてくれるのです。
