「テストが近いのに、うちの子、ぜんぜん勉強しない…」
中学生のお子さんを持つ親御さんなら、誰もが一度は悩んだことがあるのではないでしょうか。𠮟っても、なだめても、なかなか机に向かってくれない。これって、ただの反抗期や怠け癖なのでしょうか?
実は、私たちの脳内で起きている、とても面白い心理学的な現象が関係しているんです。
今回は、TEDトークで話題になった“先延ばし”の心理学から、中学生に効果的なアプローチ方法を深く掘り下げてご紹介します。
記事の最後にティム・アーバン氏の面白く解説しているトーク動画がありますので興味のある方はご覧ください。
あなたの頭の中にいる「2つの住人」

TEDスピーカーのティム・アーバン氏によると、私たちの頭の中には2つのキャラクターが住んでいます。
- 合理的意志決定者
計画を立て、未来を見据えて行動しようとする「真面目な自分」 - 今すぐのご褒美好き
目の前の楽しいことや、楽なことしか考えられない「衝動的な自分」
この2人はいつも綱引きをしています。
お子さんが「よし、今日こそ宿題を終わらせるぞ!」と決意しても、「今すぐのご褒美好き」が「いや、その前にTikTokをちょっとだけ…」と誘惑してきます。
この「ご褒美好き」は、未来の締切を理解することができません。テストという明確な締切が迫るまで、とにかく目の前の楽しいことしか見えないのです。
締切がくれた「守護神」の登場
では、私たちは一生、この「ご褒美好き」に振り回され続けるのでしょうか?
実は、そうではありません。
締切がすぐそこまで迫ると、私たちの頭の中に「パニックモンスター」が現れます。このモンスターは、とにかく目の前の楽しいことばかりを追いかける「今すぐのご褒美好き」が一番恐れる存在です。
なぜなら、パニックモンスターは締切という現実的な恐怖を突きつけ、「早くやらないと大変なことになる!」と警告するからです。
その恐ろしさに驚いたご褒美好きは、一目散に逃げ出します。その結果、私たちはようやく集中してやるべきことに取り組めるようになるのです。締切という現実的な恐怖を突きつけられると、ご褒美好きは一目散に逃げ出し、代わりに「合理的意志決定者」が主導権を取り戻します。
こうして私たちは、いつも締切ギリギリになってから、驚くほどの集中力を発揮して物事を片付けてしまうのです。
この仕組みは、宿題や提出物といった締切のあることではうまく機能します。しかし、「苦手科目の予習をする」や「部活のために体力をつける」といった、締切のない行動では、パニックモンスターは現れません。そのため、「今すぐのご褒美好き」が永遠に主導権を握り続け、私たちはいつまでも行動に移すことができない、という状況に陥ってしまうのです。