あくびは脳の冷却システム?

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私たちは、眠い時や退屈な時にあくびをします。長年、あくびは「酸素不足を解消するための行動」だと信じられてきました。しかし、近年の生理学研究において、この説は科学的に否定されつつあります。

最新の脳科学が提唱し、最も有力視されているのが「熱調節仮説(Thermoregulatory Theory)」です。脳は私たちの体の中で最もエネルギーを消費する器官であり、全エネルギーの約20%を消費します。そのプロセスで膨大な熱を発生させますが、実は脳は熱に対して非常に脆弱です。

パソコンが熱を発生するように、脳も温度が上がると情報処理能力が著しく低下します。あくびは、このオーバーヒートを防ぐための「空冷・水冷ハイブリッドシステム」なのです。

深呼吸より効率的な冷却

A diverse group of adults meditating outdoors on a rocky landscape with a serene background.

なぜ普通の深呼吸ではダメなのでしょうか。あくびには、普通の呼吸にはない3つの冷却プロセスが備わっています。

吸気による直接冷却

大きく口を開けて冷たい空気を吸い込むことで、口腔や鼻腔の粘膜を冷やします。この粘膜のすぐ近くには脳へ向かう血管が通っており、効率よく血液を冷やすことができます。

血流のポンプ作用

あくびで顎の筋肉を強く引き伸ばすと、顔周りの血管が圧迫・解放され、脳へ向かう血流が加速されます。

静脈血の排熱促進

顎の大きな動きは、脳内に溜まった温かい静脈血を押し流すポンプの役割を果たし、冷却を促進します。

これらが組み合わさることで、脳の温度をわずかに下げ、低下した処理能力をリセットしているのです。