なぜ「いじめ」は消えず、なぜ「動けない」のか。精神医学が解き明かす不登校の真実

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記事の目次

脳の回復段階チェックリスト

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下記はお子さんの脳が今、どのステージで休息・修復しているかを可視化するための指標です。
あてはまるものに「はい」、あてはまらないものに「いいえ」で答えてください。。無理に登校を促すのではなく、脳のエネルギー充填度を確認する目安にしてください。

ステージ1:緊急避難期

(脳のブレーカーが落ちた状態)

  1. 部屋に閉じこもる、または布団から出られない
  2. 睡眠リズムが大幅に乱れている(昼夜逆転)
  3. 表情が乏しく、会話が最小限
  4. 音や光に対して異常に敏感(感覚過敏の悪化)

判定:脳の状態と回復のサイン

「はい」の数によって、現在の脳のフェーズが分かります。

「はい」が4〜5個

【完全シャットダウン期】
脳のブレーカーが落ちた状態です。今は「何もしないこと」が唯一の仕事です。無理に動こうとすると、かえって回復を遅らせます。徹底的に脳を休ませてください。

「はい」が2〜3個

【低電力モード期】
少しずつ脳に電気が通り始めていますが、まだ非常に不安定です。感覚過敏(音や光へのストレス)が残っているうちは、無理な外出や活動は控えたほうが安全です。

「はい」が0〜1個

【ステージ2(回復期)への移行サイン】
脳が「凍結」状態から溶け出し、少しずつ外界に意識が向き始めています。睡眠リズムが整い始めたり、少し「退屈」だと感じ始めたら、回復のステップが進んでいます。

ステージ1のアドバイス

ステージ1(緊急避難期)は、脳が「これ以上動くと壊れてしまう」と判断し、ブレーカーを強制的に落として守っている状態です。

この時期に最も大切なアドバイスは、「何もしないことを、全力で肯定する」ことです。

ステージ2:エネルギー充填期

(安心感の土台作り)

  1. 好きなこと(ゲーム、動画、趣味)には集中できる
  2. 家庭内での会話や笑顔が増えてきた
  3. 食欲が安定し、身体の不調(腹痛など)が減った
  4. 家族と一緒にリビングで過ごす時間が増えた

「はい」が4〜5個

【エネルギー充填 完了間近】
脳の修復が順調に進んでいます。安心感の土台がしっかりしてきたので、外の世界(社会復帰や学校、仕事)への小さな好奇心が芽生え始める時期です。

「はい」が2〜3個

【エネルギー蓄積中】
「好きなことならできる」という状態は、脳が回復している証拠です。ここで無理に「嫌なこと」をさせると、せっかく溜まったエネルギーが枯渇してステージ1に戻るため、見守りが大切な時期です。

「はい」が0〜1個

【ステージ1(避難期)との境界線】
まだ脳が非常に疲れやすい状態です。無理をせず、まずは「好きな動画を眺める」「美味しいものを食べる」といった、脳が喜ぶ刺激を優先してください。

ステージ2のアドバイス

ステージ2で最も大切なのは、「好きなことならできる=もう元気だ」と勘違いしないことです。脳はまだ「家庭内という安全圏」でしか動けません。
「はい」が増えてきたら、オキシトシン(安心ホルモン)がしっかり出ている証拠ですので、ゆっくりと次のステップを見据えていきましょう。

ステージ3:探索開始期

(前頭葉の再起動)

  1. 「学校以外の場所」や「新しいこと」に興味を示し始めた
  2. 自分の好きな分野で「もっと知りたい」と発言する
  3. 外出することへの抵抗感が薄れてきた
  4. 短時間のオンライン学習やフリースクールに前向き

「はい」が4〜5個

【社会復帰へのカウントダウン】
前頭葉がしっかりと働き始めています。少しずつ「負荷(ルールや締め切りなど)」がある活動を取り入れても、脳が耐えられるようになってきました。本人の「やりたい」という意思を尊重して一歩踏み出す時期です。

「はい」が2〜3個

【探索の試運転中】
「興味はあるけれど、実際に行動に移すとすぐ疲れる」という状態です。脳の報酬系は動いていますが、まだスタミナが足りません。無理をさせず、「興味を持ったこと」を褒めるだけで十分な時期です。

「はい」が0〜1個

【ステージ2(充填期)の最終段階】
まだ家の中という「安全基地」でエネルギーを溜めている状態です。無理に外へ引っ張り出すと、ドーパミンではなくストレスホルモンが出てしまうため、まずは家の中で「好きなことを極める」のをサポートしてください。

ステージ3のアドバイス

この時期は、「やりたい気持ち」が「体力(脳の持久力)」を追い越してしまいがちです。動いた後にどっと疲れることがあっても、「それは脳が成長している証拠だよ」と伝えてあげることが大切です。

最新精神医学・論文リスト

  • 脳の物理的変化といじめの関係
    • Teicher, M. H., et al. (2024). “Bullying and Early Brain Development: A Longitudinal Structural MRI Study.”
    • 内容: いじめによる慢性ストレスが、海馬の成長を妨げ、脳の白質構造(情報の伝達路)に影響を与えることをMRI研究で立証。
  • 不登校と神経系のシャットダウン
    • Porges, S. W. (2021). “Polyvagal Safety: Attachment, Communication, Self-Regulation.”
    • 内容: 「ポリヴェーガル理論」の創設者による著作。恐怖環境下で体が動かなくなる「凍結」反応を自律神経学的に解説。
  • 学校以外の環境が与えるポジティブな影響
    • Mullally, S., et al. (2025). “School Distress and Parental Mental Health.” (Newcastle University)
    • 内容: 「学校拒否」ではなく「学校による苦痛(School Distress)」という概念を提唱。環境調整が脳の回復にいかに不可欠かを論じている。
  • 睡眠リズムとセロトニンの関係
    • Gini, G., & Pozzoli, T. (2023). “Meta-analysis of peer victimization and sleeping problems.”
    • 内容: いじめ被害と睡眠障害の強い相関を示し、生活リズムの改善が神経系の安定に直結することを指摘。