いままで多い Q&A

親さんが抱きがちな「言葉にできない不安」に対し、いままで多くあった質問などをまとめました。
Q1. 「このまま一生、動けなくなるのでは?」と怖くなります。
A. 脳には「可塑性(かそせい)」があり、必ず作り直せます。
今の「動けない」状態は、スマホのバッテリーが0%になり、システム保護のためにシャットダウンしているのと同じです。無理に起動させようとすれば故障しますが、適切な「安全(充電)」を確保すれば、脳は自ら神経ネットワークを再構築し始めます。止まっているのではなく、「内側で作り直している最中」だと考えてください。
Q2. 好きなこと(ゲーム等)はできるのに、勉強はできないのは「甘え」?
A. 脳の「使う部位」が全く違うからです。
ゲームや趣味は、直感や快楽を司る「報酬系」を動かします。一方で勉強や登校の判断は、高度なエネルギーを必要とする「前頭前野」を使います。ストレスで前頭前野が疲弊しているときは、まず報酬系を動かして脳全体のエネルギーレベルを底上げする必要があります。ゲームができるのは、脳が回復し始めている良いサインです。
Q3. 「いじめ」があった場所を思い出させるだけでパニックになります。
A. 脳の「恐怖のメモリ」が上書きされるのを待ってください。
嫌な記憶は、脳の「偏桃体」に強烈に刻まれます。これは生存本能によるものなので、本人の意思ではコントロールできません。無理に克服させようとせず、自宅という「絶対安全なシェルター」で楽しい記憶を積み重ねることで、少しずつ恐怖のメモリを薄めていく(消去学習)プロセスが必要です。焦りは禁物です。
Q4. 私(親)の育て方が、脳に影響を与えたのでしょうか?
A. いいえ。むしろ、今あなたが守っていることが「最大の治療」です。
脳にダメージを与えたのは、家庭ではなく「学校という環境とのミスマッチ」や「集団の攻撃性」です。今、お子さんが家で過ごせているのなら、それはあなたが脳にとって唯一の安全基地(セーフヘイブン)を維持できている証拠です。自分を責めるエネルギーを、お子さんと一緒に「だらだらする時間」に変えてあげてください。
精神医学の視点で見れば、不登校は「異常」ではなく、過酷な環境に対する「正常な反応」です。親の役割は、教育者であること以上に、お子さんが安心して眠れる「港」であること。それだけで、修復は着実に進んでいきます。
不登校を経験した脳が「強み」に変わる理由
不登校の時期に脳をしっかり休ませ、自分の好きなことに没頭した子どもたちは、従来の学校教育では得られない「これからの時代に最も必要な脳の回路」を手に入れることがあります。
1. 「自分軸」を支える内省回路の強化
学校という同調圧力の強い環境から離れることで、脳の「デフォルトモード・ネットワーク(DMN)」が活性化します。これは、ぼんやりしている時や内省している時に動く回路です。
将来の強み
周囲に流されず、「自分は何が好きか」「どう生きたいか」という確固たる自己概念(アイデンティティ)が育ちます。これは、正解のない時代を生き抜くための「リーダーシップ」や「決断力」の土台となります。
2. 特定分野への「超集中」による専門性
脳の報酬系が「学校の評価」ではなく「純粋な興味」に向けられると、特定の分野に対して驚異的な集中力を発揮するようになります。
将来の強み
IT、アート、研究、起業など、一つの分野を深く掘り下げるスキル(ディープ・ワーク)が身につきます。精神医学的には、この「過集中」をポジティブな方向にガイドすることで、天才的なアウトプットを生み出す可能性が指摘されています。
3. 多様な視点を持つ「高い共感性と客観性」
「普通」というレールから外れる経験をした脳は、他者の痛みに対して非常に敏感になり、同時に社会を客観的に見る視点を獲得します。
将来の強み
既存のシステムの問題点に気づく「批判的思考」や、マイノリティに寄り添う「高いEQ(心の知能指数)」が育ちます。これは、多様性が重視される現代のビジネスシーンやクリエイティブな職種において、極めて希少価値の高い能力です。
4. メンタル・レジリエンス(逆境力)の獲得
一度「脳のシャットダウン」を経験し、そこから自分なりのペースで回復したプロセスは、脳にとって「最強の成功体験」として記憶されます。
将来の強み
「一度折れても、自分は立ち直れる」という深い自信(レジリエンス)は、エリート街道を歩んできただけの脳には備わっていない強さです。失敗を恐れずに挑戦するマインドセットが、大人になってからの大きな武器になります。
結論
不登校は、標準的な「汎用型脳」から、特定の分野で輝く「プロフェッショナル型脳」へとシフトするための、必要なプロセスなのかもしれません。
まとめ:この記事を書き終えて
この記事を通じて伝えたいのは、「今、休んでいる時間は、未来の才能を育むための土壌作りである」ということです。脳の仕組みを理解すれば、焦りは「信頼」に変わります。
実は、私自身も長く激しいいじめを経験してきました。
当時は、世界から色が消えてしまったようで、出口のない真っ暗なトンネルの中にいる感覚でした。
「自分はこのまま、ずっと暗闇の中にいるんだろうな」
「将来なんて、どこにもないんじゃないか」
そんな先が見えない恐怖に押しつぶされそうな毎日。外に出れば「周りの目」が突き刺さるようで、学校に行けない自分を責め、人生を半分諦めていた時期もありました。
でも、今ならはっきり分かります。
あの時、動けなくなったのは心が弱かったからではありません。
脳が「このままじゃ壊れてしまう!」「ここは君が輝ける場所じゃない!」と命を守るために出してくれた、正当なアラート(警報)だったのです。
「みんなと同じ」に戻ろうと必死にならなくて大丈夫。
実は、不登校という時間は、脳が「学校仕様」から「自分仕様」へアップデートするための貴重な期間なんです。人生のストップではありません。
「自分だけの新しい地図」を描くための、大切な準備期間です。
かつての私のように、不安でたまらない夜もあるかもしれません。
でも、周りと比べる必要はありません。
しっかり休んで、好きなことに心を動かす。その積み重ねが、お子さんの脳を、これからの時代を軽やかに生き抜く「最強の形」へと作り変えてくれます。
どうか、焦らないでください。
「あの時、休んで本当に良かった」と、親子で笑い合える日が来ることを私は心から信じています。
お子さんが持つ無限の可能性を、一緒に信じていきましょう。
こころのかふぇ(ここかふぇ)
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