なぜ、親はSNSに本音を投稿するの?

子育ては、時に喜びよりも孤独やストレスを感じさせることがあります。そんなとき、親たちはなぜあえてSNSというオープンな場で、デリケートな感情をさらけ出すのでしょうか?
考えられる主な理由はいくつかあります。まず、多くの親が抱える「共感してほしい」という強い願い。一人で悩まず、「自分だけじゃないんだ」と感じたい。SNSは、同じような経験を持つ親たちと手軽につながり、理解や応援を得られる場所になりうるんです。
次に、感情を「吐き出す」ため。心の中にたまったイライラや不満を言葉にすることで、一時的にスッキリしたいという気持ちがあります。まるで日記のように、誰かに聞いてもらうことで心が軽くなる、そんなカタルシスを求めているのかもしれません。
また、抱えている悩みについて、誰かに相談したり、解決策やアドバイスを求めたりする目的で投稿することもあります。そして、追い詰められた状況では、無意識のうちに「助けてほしい」というSOSのサインとして、発信している可能性も考えられます。
でも、こうした純粋な欲求が、SNSという場所では思わぬ形で社会的な批判へとつながってしまうことも少なくありません。
なぜSNSは炎上しやすいの?
親が育児の悩みをSNSに投稿すると、時に激しい批判、いわゆる「炎上」が起こることがあります。これは、SNSならではの複雑な心理が背景にある為です。
まず、社会には「親はこうあるべき」という理想のイメージがあります。完璧な親像から少しでも外れる感情や行動が見えると、見る側は強く反発してしまうのです。特に、子供への強い言葉は、「親としての責任感がない」と捉えられ、批判の対象になりやすいでしょう。
また、SNSには「オンライン・ディスインヒビション効果」というものが働きます。これは、顔が見えないオンライン上だと、現実世界では抑えている批判的な感情や攻撃性がむき出しになりやすいという心理です。感情的な言葉や過激な意見があっという間に広がり、批判がエスカレートしてしまうんですね。
さらに、SNSの短い投稿では、投稿者の置かれている状況や背景が伝わりにくいという問題もあります。文脈が欠けているために、受け取る側がネガティブな方向に拡大解釈してしまい、それが誤解や批判につながることも少なくありません。
ひどいケースになると、一つの投稿への批判が集団による攻撃へと発展し、一種の「デジタルリンチ」のような状態に陥ることもあります。「正義感」という名のもとに、相手を徹底的に非難する行動へとつながってしまう危険性もはらんでいるのです。




