世界共通の「心の危機」

この問題は日本だけではありません。WHO(世界保健機関)によると、世界の成人の約5%がうつ病に罹患しているとされています。新型コロナウイルスのパンデミックは、この状況をさらに加速させました。まさに、世界中がメンタルヘルスの危機に直面しているのです。
「頑張りすぎ」が壊す心と社会
「休めない」まま頑張り続けることは、心と体、そして社会にどのような影響を与えるのでしょうか。
心と社会への大きな損失
無理を続けると、うつ病の症状が悪化・慢性化するだけでなく、燃え尽き症候群や他の病気を引き起こすリスクも高まります。
この問題は、個人にとどまらず、社会全体にも大きな損失をもたらします。ある推計では、自殺やうつ病が原因で失われる日本の経済的損失は、年間約2.7兆円にものぼるとされています。
「頑張りすぎ」の悪循環
一度この状態に陥ると、負のループから抜け出すのは容易ではありません。
過度な責任感・周囲の期待
- 無理な頑張り・心身の疲弊
- 症状悪化・自己評価の低下
- 「休めない」・罪悪感
- さらなる孤立・絶望感
- (1.に戻る)
このループを断ち切るためには、「休む勇気」と正しい知識が必要です。
心を軽くする3つのアプローチ
どうすれば、この悪循環を断ち切り、誰もが安心して休める社会を築けるのでしょうか。私たちは、社会・職場・個人の3つのレベルで対策が必要だと指摘します。
社会・職場・個人の対策
うつ病の予防には、社会・職場・個人がそれぞれのレベルで連携して取り組むことが重要になります。
社会レベル
メンタルヘルスに関する偏見をなくし、誰もが気軽に相談できる環境や制度を整える。
職場・学校レベル
ストレスチェックやハラスメント対策を徹底し、休職からの復帰をサポートする。
個人レベル
自分のストレスサインに早く気づき、つらい時は勇気を出してSOSを伝える。