意志力は「ガソリン」である

では、なぜ彼らは「我慢」できないのでしょうか?
ここで重要なのが、「自我消耗(Ego Depletion)」という概念です。
心理学者ロイ・バウマイスターは、「意志力は筋肉のようなもので、使うと疲弊する」と提唱しました。
考えてみてください。食い尽くしが発生するのは、たいてい夜です。仕事で理性を使い果たし、ウィルパワー(意志力)のタンクが空っぽになった状態で帰宅した脳は、もはや衝動を抑えるブレーキパッドがすり減っています。そこにあるのは、原始的な欲求のみ。
子供も同じです。学校という規律の中で6時間耐え抜き、帰宅した彼らの意志力タンクはカラカラです。そこで「宿題をしなさい」と言うのは、ガス欠の車に「アクセルを踏め」と言うようなものです。
では、どうすればいいのか?
絶望する必要はありません。メカニズムがわかれば、ハックすることができます。
解決策は、「相手の性格を変える」ことではなく、「環境をデザインする」ことです。
選択肢を奪うのではなく、隠す(食い尽くし対策)
意志力に頼らせてはいけません。物理的なバリアを作ります。大皿で出すのをやめましょう。彼らの脳は「皿にある=食べていい」と認識します。最初から「あなたはこの皿」「私はこのタッパー」と分け、視覚的に「自分のものではない」と認識させる境界線(ボーダー)を引くのです。
ハードルを地面に埋める(宿題対策)
ガス欠の子供に「山を登れ」と言ってはいけません。
「宿題を全部やりなさい」ではなく、「教科書を机に置くだけでいいよ」と言ってみてください。
脳科学には「作業興奮」という言葉があります。やる気は、やり始めてから出るものです。最初の一歩(着手)のハードルを極限まで下げることで、脳のスイッチを強制的に入れることができます。
私たちは皆、不完全な脳の持ち主
「食い尽くし系」のパートナーも、「宿題をしない」子供も、そして時に私たち自身も、常に脳の原始的な衝動と戦っています。
彼らの行動を「愛がないからだ」「怠け者だからだ」と倫理的な問題として片付けると、苦しみしか生みません。
しかし、これを「脳の誤作動」「進化の過程で残ったバグ」として捉え直すと、そこには冷静な対策(デザイン)の余地が生まれます。
次に、皿が空っぽになっていたり、子供が床でダラダラしていたりするのを見たら、深呼吸をしてこう思ってください。
「ああ、今ここで、前頭葉とドーパミンの壮大な戦争が起きているのだな」と。
そう考えるだけで、少しだけ、冷静になれる気がしませんか?
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