子どもは誰の人生を生きているのか?家族系YouTuber問題

A family enjoying a picnic outdoors with their baby and rabbits.

「いいよ」と言ったら、本当に同意したことになる?

A joyful family group takes a selfie while enjoying lollipops in a sunny park.

カウンセラーとしてもう一つ大切にしたい視点があります。

それは、子どもの「いいよ」という言葉です。

子どもは大好きな親を喜ばせたいと思うことがあります。

本当は嫌でも、親が喜ぶなら我慢する。期待に応えようとする。

こうした気持ちは、子どもの成長過程で決して珍しいものではありません。

だからこそ、子どもが「いいよ」と言ったとしてもそれが本人の自由な意思なのか、大人の期待に合わせた返事なのか、丁寧に考える必要があります。

また、幼い子どもはインターネットに公開された動画が長く残り、知らない人に見られ続ける可能性まで十分に理解することは難しいでしょう。

同意を得ることは大切です。しかし、同意を得たことだけで大人の責任がなくなるわけではありません。

子どもの意思を尊重することも教育の一つ

私は、子どもの権利を守ることは危険から守ることだけではないと思っています。

自分の気持ちを伝え、その気持ちが尊重される経験を積むことも大切です。

「今日はやりたくない」

「写真は撮らないでほしい」

「自分で決めたい」

そんな言葉を大人がどう受け止めるか。

子どもは日々の関わりの中で自分の気持ちを伝えてよいのだと学んでいきます。

反対に、いつも大人の期待や都合を優先することが求められる環境では、自分の気持ちを後回しにするようになる場合もあります。

これはSNSに限った話ではありません。

進路、習い事、学校生活、日常の小さな選択。

私たち大人は「子どものため」と思いながら、知らず知らずのうちに自分の価値観を優先していないでしょうか。

子どもの意思を尊重することは、すべてを子ども任せにすることではありません。

子どもの安全を守りながら、年齢や発達に応じて、自分で考え、選ぶ機会を保障することだと思います。

こころのかふぇが大切にしたいこと

私たち「こころのかふぇ」では月に一度、親子が参加できるイベントを開催しています。

子どもたちが自由に絵を描いたり、興味のあることに触れたり、親子でゆっくり過ごしたりします。

そこで大切にしたいのは、上手にできることでも周囲と同じことをすることでもありません。

子ども自身が「やってみたい」と思う気持ちです。

参加したくないときは、見ているだけでもいい。

みんなと違う色を使ってもいい。

途中で気持ちが変わってもいい。

もちろん、撮影されたくないという意思も尊重されるべきです。

こうした小さな経験が、自分の気持ちを大切にすることや、他者の意思を尊重することにつながっていくと考えています。

子どもの主体性を大切にする教育は、特別な教材や難しい授業だけで実現するものではありません。

日常の中で、大人が子どもの声に耳を傾けることから始まるのではないでしょうか。

親にも、子どもにも、一人の人生がある

ここで忘れたくないのは親にも一人の人生があるということです。

親になったからといって、自分の夢や挑戦を諦める必要はありません。

仕事を頑張ることも、好きなことを発信することも、自分らしい人生を歩むことも、大切にしてほしいと思っています。

そして、それは子どもも同じです。

親の人生が親自身のものであるように、子どもの人生も子ども自身のものです。

親の夢を実現するために、子どもが自分の気持ちを犠牲にする必要はありません。

だからといって、親が自分の人生を諦める必要もありません。

お互いが一人の人間として尊重されること。

私はそんな親子関係を大切にしたいと思っています。

子どもの未来を、誰が決めるのか

今回のニュースは、家族系YouTuberの収益化という問題から始まりました。

しかし、その背景にはもっと大きな問いがあるように感じます。

子どもの姿を誰が公開するのか。

子どもの意思を誰が確認するのか。

子どもが生み出した利益を誰が管理するのか。

そして、子どもの未来について誰が決めるのか。

子どもには、まだ自分だけでは判断できないことがたくさんあります。

だからこそ、大人の支えが必要です。

けれど、支えることと人生を代わりに生きることは違います。

子どもは、親の人生を彩るために生まれてきたわけではありません。

一人の人間として、自分の人生を歩んでいく存在です。

私たち大人にできるのは、その人生を思いどおりに描くことではなく、子ども自身が未来を選んでいけるよう支えることではないでしょうか。

「こころのかふぇ」では、これからもカウンセリングや親子での体験を通して、親も子どもも自分らしく生きられる社会について考え、活動していきたいと思います。

参考記事

ABEMA TIMES(2026年11月1日)
視聴はこちらから⇒「相次ぐ『家族系YouTuber』の収益化停止 欧州では『子どもの肖像権保護』の法規制も テレビはOK、動画だとダメ?弁護士の見解は」

※本記事は報道をきっかけに、カウンセリングと教育の視点から考えをまとめたものです。個別の配信者の行為について、違法性や心理的影響を断定するものではありません。