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メンタルヘルス対策の重要性と企業が取り組むべき具体的な3つのステップ

こころとこころをつなぐ、こころのかふぇ
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大城 眞抽美
朝日報道番組ABEMA・30代女性雑誌Poco'ce・財経新聞など出演。人は客観的な現実を理解することはできない。 認知神経科学の観点から意識を研究、特に30代女性1万人以上カウンセリングしています
目次

私たちが生きる現代では、ストレスやプレッシャーなどが非常に多く、メンタルヘルスの不調に陥るリスクは常に高まっています。
企業においては、従業員のメンタルヘルス対策について非常に重要な課題となっています。
さらに、私たちは常に我慢を強いられ、その我慢が「美徳だ」と言われることが日本では特に多いです。

「頑張る」それはとても素晴らしいことです。けれども、声に出せず限界を超えてまで働くことは本当に美徳なのでしょうか。以前、大手会社で起こった高橋まつりさんの過労死のニュースは私たちに衝撃を与えました。それでもまだまだ企業と労働者の間には壁があるように感じます。

電通過労自殺8年 高橋まつりさん母「人権尊重の経営を」https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE241E60U3A221C2000000/

さて、今回の本ブログでは、企業が取り組むべきメンタルヘルス対策についてその概要や重要性、具体的な対策の3段階を詳しく解説していきます。

メンタルヘルス対策とは

メンタルヘルス対策は、心の健康を保持・増進するための取り組みです。

厚生労働省では、国、事業者、労働者をはじめとする関係者が一体となって総合的かつ計画的に労
働者の安全と健康を守り、労働災害防止対策に取り組むことができるよう労働安全衛生法の規定に基
づいて「第 12 次労働災害防止計画」を策定しています。

また、業務による心理的負荷を原因として精神障害を発症し、あるいは自殺したとして労災認定が
行われる事案が近年増加し、社会的にも関心を集めています。
自殺者総数が2万人を超えているなかで、労働者の自殺者数も 7 千人前後で推移しています。
(※厚生労働省ー職場における心の健康づくりーより参照)

メンタルヘルスとは
人が自身の能力を発揮し、日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、かつ地域に貢献できるような満たされた状態であると定義されています。

メンタルヘルス対策の目的
心の健康の保持や増進
仕事による健康障害の防止
健康不全の早期発見・早期対処
職場復帰支援対策

これらの目的は、労働者全員を対象にしており、心の健康レベルを向上させることを目指しています。

メンタルヘルス対策に取り組む上で重要なポイントは次の通りです。

メンタルヘルス対策に関する方針の表明と周知

企業の経営理念や経営方針に明確にメンタルヘルス対策の取り組みを明記し、労働者に対して周知することが重要です。

メンタルヘルス対策に関する計画の策定

労使の協議のもと、事業場の実態に合わせたメンタルヘルス対策の計画を立てる必要があります。計画策定後は、定期的な評価や現状把握を行い、対策の効果評価を行うことも重要です。

産業保健総合支援センターなどの活用

事業場に専門職が不在な場合、産業保健支援センターなどの外部資源を活用することが有効です。他社の事例と比較しながらメンタルヘルス対策を見直し、推進に役立てることができます。

具体的な取り組み例としては、以下のようなものがあります。

社内研修の実施:従業員にストレスやメンタルヘルスケアに関する正しい知識を提供するために、社内研修を実施します。
職場環境の改善:労働時間の適切な管理、労働者への意見聴取、コミュニケーションの活性化など、職場環境の問題を把握し改善します。
相談窓口の設置:メンタルヘルス不調に関する相談窓口を設け、従業員が自発的に相談できる環境を整えます。

メンタルヘルス対策は、一次予防(メンタルヘルス不調の未然防止)、二次予防(早期発見と適切な対処)、三次予防(メンタルヘルス不調者の職場復帰支援)の3つの段階で行われます。企業は労働者の心の健康問題に対して、きめ細かな対応を図るべきです。

メンタルヘルス対策の重要性について

メンタルヘルスの問題とその影響

近年、メンタルヘルスの問題が深刻な懸念事項となっています。企業にとっても、メンタルヘルス対策は重要な課題です。メンタルヘルス対策の実施は、従業員の健康を保護するだけでなく、生産性の低下や離職率の上昇といったリスクを軽減するためにも非常に重要です。

この問題は、職場環境や人間関係、労働時間の過剰など、さまざまな要因によって引き起こされています。そして、これらの要因によって引き起こされるメンタルヘルスの問題は、個人の心身の健康だけでなく、組織全体の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。

メンタル対策のメリット

企業はメンタルヘルス対策を重視し、従業員のメンタルヘルス状態を理解し、問題の予防に取り組む必要があります。この実施によって得られるメリットについて説明します。

生産性の向上:メンタルヘルス不調の従業員は、本来の能力を発揮できず、生産性が低下します。メンタルヘルス対策を実施することで、従業員のメンタルヘルスを改善し、生産性の向上につなげることができます。
離職率の低下:メンタルヘルス不調の従業員が増えると、離職率が上昇する可能性があります。メンタルヘルス対策を実施することで、従業員の働きやすさや満足度を向上させ、離職率の低下を図ることができます。
リスク管理:メンタルヘルス不調によって生じる事故やトラブルは、企業にとって大きなリスクとなります。これらの対策を実施することで、従業員のメンタルヘルスを適切に管理し、リスクを軽減することができます。

メンタルヘルス対策の重要性

メンタルヘルス対策は、企業にとって重要な課題であり、組織の健康を維持するために不可欠な取り組みです。従業員のメンタルヘルスの改善と組織の健全な発展のために、積極的にメンタルヘルス対策に取り組むことが重要です。

企業におけるメンタルヘルス対策の3段階

企業では、メンタルヘルス対策を目的に応じて3つの段階に分けて取り組むことがあります。それぞれの段階では、異なるアプローチが必要とされます。以下で、企業におけるメンタルヘルス対策の3つの段階について詳しく説明します。

一次予防(メンタルヘルス不調の未然防止)

一次予防では、メンタルヘルス不調を未然に防ぐための取り組みが行われます。具体的な取り組み方法は以下の通りです。

ストレス要因の除去や軽減:労働者が感じるストレス要因を特定し、改善策を導入することで、メンタルヘルス不調の発生を予防します。
ストレスマネジメントの向上:労働者に対して、ストレスの管理方法やコーピングスキルの向上を促すプログラムを提供します。
職場環境の評価・改善:職場の環境や雰囲気を評価し、働きやすい環境を整えます。

一次予防の目的は、メンタルヘルス不調の未然防止です。従業員の健康や事故・トラブル、訴訟リスクを回避するためにも、一次予防は重要な取り組みと言えます。

二次予防(早期発見と適切な対処)

二次予防では、メンタルヘルス不調を早期に発見し、適切な対処を行うことが重要です。具体的な取り組み方法は以下の通りです。

産業保健スタッフによる相談対応:労働者が不調を感じた際に相談できる窓口を設け、適切な支援を提供します。
労働者自身によるセルフチェック:労働者が自己評価を行い、不調の兆候を早期に把握します。
家族の気づき:労働者の家族や周囲の人々が不調を察知し、適切なサポートを行います。

二次予防では、早期に対応し、メンタルヘルス不調の深刻化や合併症、自殺などを防止することが求められます。

三次予防(職場復帰支援)

三次予防では、メンタルヘルス不調になった労働者の職場復帰支援などを行い、合併症や再発の予防に努めます。具体的な取り組み方法は以下の通りです。

職場復帰支援プログラムの計画と実施:労働者がスムーズに職場復帰できるような支援プログラムを策定し、実施します。
医師との連携:労働者の治療プランや進行状況などを医師と共有し、最適な支援を行います。

企業は、労働者が職場復帰時に不安を感じている場合には、適切な措置を講じる必要があります。また、職場復帰後のフォローアップも三次予防の一環として重要です。

これらの3つの段階に基づいたメンタルヘルス対策を適切に実施することで、労働者のメンタルヘルスを維持し、生産性を向上させることができます。企業は、自社の状況やニーズに合わせて、適切な対策を取り入れることが重要です。

一次予防(メンタルヘルス不調の未然防止)

メンタルヘルス不調の未然防止のためには、一次予防が重要です。この段階では、従業員の健康な状態を維持し、メンタル不調の発症を予防するための対策を取ります。以下では、一次予防の具体的な取り組みを紹介します。

ストレスマネジメントの向上

ストレスマネジメントは、ストレスにどのように対処し、乗り越えていくかを考えることです。従業員に対して、適切なストレス対処法やテクニックを教育し、ストレスを軽減する手段を提供することが重要です。

ストレス解消法のトレーニングを行う
マインドフルネスや瞑想といったリラクゼーション方法の学習
自己管理のスキルを向上させるためのワークショップを開催する

職場環境の改善

職場環境は、メンタルヘルスに大きな影響を与えます。従業員がストレスを感じやすい要因を特定し、それらの改善策を実施することで、メンタルヘルス不調のリスクを軽減することができます。

労働時間の見直しや残業時間の削減
適切な休憩時間の設定と休暇制度の整備
コミュニケーションの改善(部下とのコミュニケーション改善策の導入やマネージャーとのフィードバックの実施)

従業員への情報提供

企業で働く人たちには、セルフケアやラインケアの重要性についての情報を提供することも一次予防の一環です。従業員が自分自身のメンタルヘルスに注意を払い、必要なケアを行うためには、正しい知識が必要です。

メンタルヘルスの重要性やメリットに関する教育プログラムの実施
セルフケアの手法やリソースの提供(栄養、睡眠、運動などの健康管理)

ストレスチェックの実施

ストレスチェック制度は、メンタルヘルス不調の早期発見や予防に役立つ取り組みです。この制度では、従業員自身がストレスレベルを認識することができるため、メンタルヘルス不調に気づくことが可能です。企業は、制度の実施や結果の分析を通じて従業員のメンタルヘルス状態を把握し、必要な対策を講じることが重要です。

ストレスチェックの定期実施(アンケートや面談など)
チェック結果の個別フィードバックと必要なサポートの提供

以上が一次予防の具体的な取り組みです。従業員のメンタルヘルスを未然に守るためには、ストレスマネジメントの向上や職場環境の改善、従業員への情報提供、ストレスチェックの実施などが重要です。企業はこれらの取り組みを適切に行い、メンタルヘルス不調の予防に努めることが求められます。

二次予防(早期発見と適切な対処)

二次予防は、メンタルヘルス不調を早い段階で発見し、適切な対策を講じることを目指す取り組みです。この段階では、メンタル不調が深刻化する前に、本人や周囲が変化に気付き、早めに対処することが重要です。

以下に、二次予防の具体的な取り組みを紹介します。

上司や産業保健スタッフによる相談対応

会社上司や管理者には、部下の不調に早く気づくことが求められます。上司が従業員とのコミュニケーションを密にし、変化に敏感に察知することが重要です。また、産業保健スタッフなど専門の相談窓口を設けることで、従業員がメンタル不調になった場合に気軽に相談できる環境を整えましょう。

労働者によるセルフチェック

従業員自身が自己評価や心の状態をチェックする機会を設けることが重要です。ストレスチェックの実施や定期的なアンケート調査などを通じて、従業員自身が自分のメンタルヘルスに意識を向けるきっかけを提供しましょう。

周りや家族による気付き

家族や身近な人が変化に気付くことも重要です。家族とのコミュニケーションを円滑にし、従業員の身近な人がメンタル不調のサインに気づいた場合には、適切な支援や相談窓口の案内などを提供しましょう。

これらの取り組みにより、メンタル不調を早期に発見し、迅速な対処が可能となります。メンタルヘルスの問題が深刻化する前に、周囲のサポートや適切な情報提供が不可欠です。従業員が安心して相談できる環境を整え、連携体制を構築することが求められます。

産業保健総合支援センター全国一覧表

 47都道府県に配置され、ストレスチェックの導入、メンタルヘルス不調の予防から職場復帰支援ま
でのメンタルヘルス対策全般について対応しています。

都道府県名住所電話番号
北海道〒060-0001
北海道札幌市中央区北1条西7-1
プレスト1・7ビル2F
011-242-7701
青森〒030-0862
青森県青森市古川2-20-3
朝日生命青森ビル8F
017-731-3661
岩手〒020-0045
岩手県盛岡市盛岡駅西通2-9-1
マリオス14F
019-621-5366
宮城〒980-6015
宮城県仙台市青葉区中央4-6-1
SS30 15F
022-267-4229
秋田〒010-0874
秋田県秋田市千秋久保田町6-6
秋田県総合保健センター4F
018-884-7771
山形〒990-0047
山形県山形市旅篭町3-1-4
食糧会館4F
023-624-5188
福島〒960-8031
福島県福島市栄町6-6
NBFユニックスビル10F
024-526-0526
茨木〒310-0021
茨城県水戸市南町3-4-10
水戸FFセンタービル8F
029-300-1221
栃木〒320-0811
栃木県宇都宮市大通り1-4-24
MSCビル4F
028-643-0685
群馬〒371-0022
群馬県前橋市千代田町1-7-4
群馬メディカルセンタービル2F
027-233-0026
埼玉〒330-0064
埼玉県さいたま市浦和区岸町7-5-19
全電通埼玉会館あけぼのビル3F
048-829-2661
千葉〒260-0013
千葉県千葉市中央区中央3-3-8
日進センタービル8F
043-202-3639
東京〒102-0075
東京都千代田区三番町6-14
日本生命三番町ビル3F
03-5211-4480
神奈川〒221-0835
神奈川県横浜市神奈川区鶴屋町3-29-1
第6安田ビル3F
045-410-1160
新潟〒951-8055
新潟県新潟市中央区礎町通二ノ町2077
朝日生命新潟万代橋ビル6F
025-227-4411
富山〒930-0856
富山県富山市牛島新町5-5
インテックビル4F
076-444-6866
石川〒920-0024
石川県金沢市西念1-1-3
コンフィデンス金沢8F
076-265-3888
福井〒910-0006
福井県福井市中央1-3-1
加藤ビル7F
0776-27-6395
山梨〒400-0047
山梨県甲府市徳行5-13-5
山梨県医師会館2階
055-220-7020
長野〒380-0935
長野県長野市中御所1-16-11
鈴正ビル2F
026-225-8533
岐阜〒500-8844
岐阜県岐阜市吉野町6-16
大同生命・廣瀬ビル8F
058-263-2311
静岡〒420-0034
静岡県静岡市葵区常磐町2-13-1
住友生命静岡常磐町ビル9F
054-205-0111
愛知〒461-0005
愛知県名古屋市東区東桜1-13-3
NHK名古屋放送センタービル2F
052-950-5375
三重〒514-0003
三重県津市桜橋2-191-4
三重県医師会館ビル5F
059-213-0711
滋賀〒520-0047
滋賀県大津市浜大津1-2-22
大津商中三楽ビル8F
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京都〒604-8186
京都府京都市中京区
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075-212-2600
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大阪府大阪市中央区石町2-5-3
エル・おおさか南館9F
06-6944-1191
兵庫〒651-0087
兵庫県神戸市中央区御幸通6-1-20
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078-230-0283
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和歌山県日赤会館7F
073-421-8990
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082-224-1361
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山口県山口市旭通り2-9-19
山口建設ビル4F
083-933-0105
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香川〒760-0050
香川県高松市亀井町2-1
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087-813-1316
愛媛〒790-0011
愛媛県松山市千舟町4-5-4
松山千舟454ビル2F
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088-826-6155
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佐賀県佐賀市駅南本町6-4
佐賀中央第一生命ビル4F
0952-41-1888
長崎〒852-8117
長崎県長崎市平野町3-5
建友社ビル3F
095-865-7797
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熊本県熊本市中央区花畑町9-24
住友生命熊本ビル3F
096-353-5480
大分〒870-0046
大分県大分市荷揚町3-1
いちご・みらい信金ビル6F
097-573-8070
宮崎〒880-0024
宮崎県宮崎市祇園3-1
矢野産業祇園ビル2F
0985-62-2511
鹿児島〒890-0052
鹿児島県鹿児島市上之園町25-1
中央ビル4F
099-252-8002
沖縄〒901-0152
沖縄県那覇市字小禄1831-1
沖縄産業支援センター2F
098-859-6175
産業保健総合支援センター一覧(全国47ヶ所)

まとめ

メンタルヘルス対策は企業にとって重要な課題になります。日頃から取り組むことにより、健康を守り、生産性の向上や離職率の低下などの効果が期待できます。企業は一次予防、二次予防、三次予防の3つの段階に沿って、ストレスマネジメントの向上、職場環境の改善、相談窓口の設置など、従業員のメンタル維持と向上に向けた積極的な取り組みが求められます。
企業が従業員のメンタルヘルスを適切に管理し、支援することで、組織全体の健全な発展につなげることができるでしょう。

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