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子どもが「良い子」すぎてつらい?過剰適応のサイン・原因・対処法を解説

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村田有沙
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「うちの子、いつも先生の言うことばかり聞いてるんだけど…」
「自分の意見が言えず、友達に流されやすい…」

そんな悩みを抱える親御さん、もしかしたらお子さんが【過剰適応】になっているのかもしれません。この記事では、過剰適応の子どものサインと原因、そして親がすべき対処法をわかりやすく解説します。

過剰適応について理解を深め、お子さんへの接し方のヒントを見つけてください。

過剰適応の子どもとは?

自分の気持ちや意見を抑え、周囲の期待や環境に合わせようと過剰に努力する状態のことを【過剰適応】といいます。「良い子」として認められたい、愛されたい、嫌われたくないという気持ちが強いあまり、本来の自分らしさを失ってしまうことがあるのです。「良い子」としてふるまってしまうため、他人からの評価は高くなりますが、子ども本人はつらく感じていることも。なかには、子ども本人も気付かないうちに過剰適応になってしまっているケースもあります。

つまり、先生や親から見て「良い子」のよう見える子どもも、実は心の中で深い葛藤を抱えているかもしれません。過剰適応は、子どもの健全な成長を妨げる原因となりえます。周囲の大人は早めに見抜き、適切なかかわりをしていくことが大切です。

過剰適応のサイン【5つ】

まずは、過剰適応のサインとして気をつけた方がいい子どもの特徴を5つご紹介します。

以下のようなサインが見られる場合は、過剰適応の可能性があります。

周囲の顔色ばかり伺う
感情を押し殺してしまう
自立心を過度に求める
完璧主義
自己犠牲

周囲の顔色ばかり伺う

先生や親、友達からの期待に応えようと、常に完璧を求めてしまう子ども。実は、プレッシャーを抱えているかもしれません。
また、自分の意見を言えず、周囲に合わせすぎてしまう葛藤を抱えていることも。周囲から嫌われることを極端に恐れる子どももいます。

感情を押し殺してしまう

一人で抱え込んでしまう子どもは、悲しみや怒りなどの感情を表現しないことがあります。
また、周囲に心配をかけたくないという思いから、常に明るく振る舞おうとする傾向がみられる場合も。さらに、落ち込んでいる姿を見せることを弱さだと考えてしまう子どももいます。そのため、子ども自身からは、周囲に助けを求めることができません。

自立心を過度に求める

年齢に不相応な責任感や義務感を持ち、一人で抱え込んでしまう子どもがいます。
また、周囲に迷惑をかけたくないという思いが強い子どもも。このような場合、甘えたり、助けを求めたりすることを苦手とする傾向が見られます。常に完璧な状態でなければいけないと考えるため、周囲に弱みを見せることもできません。

完璧主義

些細なミスでも許さず、自分を責めてしまうことがあります。
また、周囲からどう見られるかを気にするあまり、常に高い目標を設定し、結果にこだわりすぎてしまう傾向も。失敗を恐れて、新しいことに挑戦することを避けることが多いでしょう。そのため、可能性を広げる機会を逃してしまうこともあります。

自己犠牲

周囲の人を助けるために、自分のことを犠牲にしてしまうことがあります。断ることができず、無理をしてでも人に尽くしてしまうのです。結果的に、自分の時間がなくなってしまうことも。自分の意見や気持ちを言い出せないため、周囲に振り回されてしまうこともあります。

過剰適応の問題は、本人のつらさが目に見えてわかりにくいかもしれません。そのため、周囲に気づかれないまま、本人の中では葛藤やつらさが大きくなってしまう場合があります。子どもの様子を観察して適切なかかわりができるようにしていきたいですね。

過剰適応の原因【5つ】

そもそも、過剰適応になってしまうのは、なぜなのでしょう?
過剰適応の原因はさまざまですが、主な原因としては以下が挙げられます。

子どもの性格
家庭環境
学校生活
友達関係
社会的なプレッシャー

子どもの性格

過剰適応の子どもは、繊細で感受性豊かな心を持っていることがあります。周囲の環境や人々に敏感に反応し、過剰適応になりやすいのでしょう。ささいな出来事に傷つきやすく、周囲の人の感情を敏感に察知してしまうことがあります。そのため、常に周囲に気を配り、協調性を重んじる傾向も。
また、失敗を極端に恐れるという完璧主義の側面を持っている場合もあるでしょう。高い目標を設定し、常に結果を求めて自分自身にプレッシャーをかけ、周囲からの期待に応えようと努力しがちです。
他には、責任感が強いという特徴もみられます。周囲に迷惑をかけないよう、責任を背負い込もうとする傾向が強いです。自分のことよりも周囲のことを優先し、甘えたり助けを求めたりすることを苦手とします。

家庭環境

親の過度な期待から、親が子どもに高い目標を掲げ、常に結果を要求する場合があります。しかし、子どもにとっては、大きなプレッシャーとなることが多いでしょう。結果、子どもは常に完璧を求め、失敗を恐れるようです。
また、親の過干渉も、子どもの心身に悪影響を及ぼします。子どもの行動や考え方を過度にコントロールしようとする親は、子どもの自主性を奪い、自己肯定感を低下させるのです。
さらに、家族間で深刻な争いがある場合、子どもは不安やストレスを感じやすくなります。自分の居場所を失い、心を開くことができなくなるでしょう。

学校生活

厳しい校風や教師は、子どもにとって大きなストレスです。子どもに厳しい規律やルールを押し付け、自主性を尊重しない校風や教師は、子どもの心を閉ざし、創造性を奪ってしまう可能性があります。
さらに、いじめや人間関係の悩みも、子どもにとって深刻な問題です。学校でいじめや仲間外れを経験し、心を閉ざしてしまう子どもは、周囲とのコミュニケーションを避け、孤独感や不安感を抱えてしまう可能性があるでしょう。
学業へのプレッシャーも、子どもにとって大きな負担です。周囲からの学業成績へのプレッシャーが強く、常に良い成績を取らなければならないと考える子どもは、勉強に追われ、本来の遊びや休息の時間を楽しむことができません。

友達関係

友達が少なく、孤立している子どもは、周囲に溶け込めず、友達を作るのが苦手です。周囲の人とのコミュニケーションを避け、一人でいることを好む場合もあれば、積極的に友達を作ろうとしても、うまくいかずに孤立してしまう場合もあります。
また、友達に嫌われることを極端に恐れる子どもは、常に友達の顔色を伺い、自分の意見を言えないという問題を抱えています。周囲に合わせすぎて、自分らしさを失ってしまう可能性も。
さらに、真の友情を築けていない子どもは、表面的な付き合いに終始し、心を通わせられる友達がいないという問題を抱えているかもしれません。周囲との深い関わりを避け、孤独感や虚無感を感じている可能性もあります。

社会的なプレッシャー

SNSやメディアの影響は、理想的な像に惑わされ自分自身を否定してしまうなど、子どもにとって大きな課題です。子どもは、自己肯定感を低下させ、劣等感や不安を抱えてしまう可能性があります。
また、周囲からの評価を気にしすぎる子どもは、周囲からどう見られるかを気にする傾向も。結果として、本来の自分らしさを失ってしまうこともあります。常に周囲に合わせようと努力し、自分の意見や感情を抑圧してしまうこともあるでしょう。
社会的な成功への強い憧れは、子どもにとって夢や目標になるだけでなく、大きなプレッシャーとなる場合も。社会的な成功こそが価値があると信じ、常に結果を求めている子どもは、失敗を恐れるようです。

以上にあげた原因のひとつだけでなく、いくつかの原因が複合的に絡み合い、子どもの過剰適応につながっていくと考えられます。

過剰適応の子どもへの対処法【6つ】

心のプレッシャーに押しつぶされそうな過剰適応の子どもたち。周囲の期待に応えようと完璧を求め、自分の意見を言えずに抱え込んでしまう姿は、見ている親御さんも胸が痛みますよね。

しかし、大丈夫。あきらめずに、子どもの心に寄り添うことで、きっと笑顔を取り戻すことができると信じて接していきましょう。

過剰適応の子どもへの対処法としては、以下のことが挙げられます。

ありのままの「あなた」を認める
自分の意見や気持ちを言いやすい環境を作る
完璧主義から解放する
甘えたり助けを求めたりすることを促す
自分らしさを大切にできる環境を作る
必要があれば専門家の助けを求める

ありのままの「あなた」を認める

まずは、ありのままの「あなた」を愛し、認めてあげることが大切です。どんな時も味方であることを伝え、ありのままの自分で大丈夫だという安心感を与えましょう。

自分の意見や気持ちを言いやすい環境を作る

悲しみや怒りなどの感情を言葉で表現できるよう、安全な場を作ってあげましょう。共感的に話を聞き、感情を否定せず受け止めることが大切です。

完璧主義から解放する

完璧である必要はないことを伝え、小さな成功体験を積み重ねさせてあげましょう。失敗を恐れないチャレンジ精神を育むことが、自信につながります。

甘えたり助けを求めたりすることを促す

甘えたり助けを求めたりすることは恥ずかしいことではないことを伝え、周囲に頼る勇気を育てましょう。あなた一人では解決できない問題もあることを理解し、サポート体制を整えることも大切です。

自分らしさを大切にできる環境を作る

周囲の評価を気にせず、自分らしさを大切にできる環境を作りましょう。個性や才能を伸ばせるよう、興味や関心に合わせたサポートを行いましょう。

必要があれば専門家に助けを求める

子どもの状態によっては、専門家のサポートが必要になる場合があります。一人で抱え込まず、カウンセラーや心理士などの専門家に相談することを検討しましょう。

子どもの笑顔を取り戻すためには、大人たちの理解とサポートが必要です。
これらの対処法を参考に、子どもの心に寄り添い、一緒に歩んでいきましょう。

親が過剰適応の子どもを育んでしまうNG行動

過剰適応の子どもは、周囲の期待に応えようと完璧を求め、自分の意見を言えずに抱え込んでしまうことがあります。無意識のうちに、親の言動が子どもの心を傷つけてしまうケースも少なくありません。

以下のような行動は、子どもの過剰適応を助長してしまう可能性があります。

親が過剰適応の子どもを育んでしまうNG行動5選

理想の「子ども像」を押し付ける
失敗を責め完璧さを要求する
周囲と比較し、劣等感を植え付ける
感情を表現することを否定する
自分の意見や気持ちを言い合えない

理想の「子ども像」を押し付ける

「もっと勉強しなさい」「〇〇の成績はなぜこんなに低いのか?」など、理想の「子ども像」を押し付けてしまうと、子どもは常に評価され、比較されていると感じてしまいます。

失敗を責め完璧さを要求する

ささいなミスでも責めたり、完璧さを要求したりすると、子どもは自信を失い、自己肯定感が低下してしまいます。

周囲と比較し劣等感を植え付ける

「〇〇ちゃんはこんなにできるのに」と、周囲と比較するような発言は、子どもに劣等感を植え付け、自己否定につながります。

感情を表現することを否定する

「泣くな」「我慢しなさい」と、子どもの感情を表現することを否定すると、子どもは自分の感情を処理できなくなり、心身に悪影響を及ぼす可能性があります。

自分の意見や気持ちを言い合えない

親自身が自分の意見や気持ちを言い出せない家庭では、子どもも自分の気持ちを表現するのが苦手になってしまいます。

子どもの健やかな成長を促すためには、親の言動が子どもの心に与える影響を常に意識することが大切です。上記のNG行動を避け、子どもをありのままの「あなた」として愛し、認めてあげましょう。

※上記のNG行動はあくまでも一例であり、個々の状況によって異なる場合があります。
※過剰適応は、発達障害やギフテッドなどの特性と関連している場合もあります。専門的な診断や指導が必要であれば、医師や発達障害専門医に相談しましょう。

まとめ

今回の記事では、

過剰適応のサイン
過剰適応の原因
過剰適応の子どもへの対処法
親のNG行動

について解説しました。

過剰適応の子どもは、周囲の期待に応えようと完璧を求め、自分の意見を言えずに抱え込んでしまいがちです。

大切なのは、子どもの個性や特性を理解し、ありのままの「あなた」を認めてあげること。私たちは、彼らの心のSOSサインを見逃さず、寄り添い、笑顔を取り戻すためにできることがあります。

子どもの心に寄り添い、一緒に歩んでいきましょう。

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